(98)②学院祭に熱くなりすぎではないですか。

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直接向かい合ってするよりも、スクリーンに向かってする方が、実際にどうなのかわかりやすいようである。 「スクリーンの分割をして」 太一の指示は同じく別のノートパソコンを広げる他のメンバーにもサンプルの日々希と山田にも飛ぶ。 一つだったスクリーンが分割されて、日々希目線と、山田目線に分かれた。 それぞれむかい合う対象が相手となっている。 だが、白い顔同士、わかりにくい。 「イメージを投影して」 幾つか用意している画像から、日々希に合いそうな少年のキャラクターが、山田の大きな体に合いそうな強そうなキャラクターが、投影された。 スクリーンの人物は、日々希は制服で、山田は柔道着に変わっている。 日々希が回し蹴りをいれてみると、山田のキャラクターがテンプルに豪快に入って大げさにぶっ飛んでいる。 「すげーっ、なにこれ~、めっちゃ面白そう!」 部活は中断され、全員があつまっていた。 興味津々のギャラリーと化した彼らから歓声が上がる。 リアルなバーチャル対戦である。皆、好きなのだ。 日々希はどきどきし始めた。 最近では慣れ始めたとはいえ、この大人数が自分の周囲をとりまき、彼らの視線を集めているのはやばいような気がした。 背中に冷たい汗が流れ始めたとき、太一の探るような視線が日々希を捕らえた。 「皆見ているのはスクリーンだよ、大丈夫だから」 言われてみるとそうだった。 すっと気分も落ち着く。 これはバーチャルな格闘技スポーツ、ギャラリーが見ているのはスクリーンである。 相手の体に当てたらポイントが加算されていき、制限時間内にポイントをより多くとった方が勝であった。 真剣に対戦を始めると、お試しなのにすっかりのめり込んでしまう。 スクリーンにお互いのヒットポイントが積みあがっていく。 点数が上限に達すれば、時間内でも勝負ありとされている。 しかも

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