(97)①学院祭に熱くなりすぎではないですか。

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学院祭まであと10日。 大和薫英学院のあちらこちらでにわかに殺気立ちながらの準備が進められていた。 演劇するチームのセリフ合わせに、手作り衣装の準備。 彼らの間を緑の腕章の運営委員会がチェックリストを持ちながら、困ったことがないか、申告している内容に誤りがないか、確認しに回っている。 学業優先ということもあり、授業中に何か学院祭の準備をこっそりなどしようものなら、先生が許しても運営委員会の緑の腕章が許さない。 何も悪いことをしているわけではないが、緑の腕章を見るとこの時期、学生はどきりとするのである。 日々希は情報室に行く途中、太一のラビットチームが連れ立って出ていくのに遭遇する。 彼らは段ボールをいくつも運んでいて、太一が抱える段ボールから顎をあげて日々希を見ると顔を輝かせた。 「何だよ?」 「暇ならちょっとだけサンプルに手伝ってくれない?」 「サンプル?」 「そう、バーチャルエレクトロニックスポーツのキャラクターの動きを確認したいんだ。実際のプログラムを反映させたものを確認したくて」 日々希の用事はメールチェックぐらいだったので日々希は太一について行くことにする。 できるだけ広い場所がいいということで柔道部と剣道部の合同で利用している体育館の一角を使わせてもらうという。 段ボールのなかから道具を出し、プロジェクター用の白布を壁に貼りはじめると、剣道と柔道の部員がちらちらと怪訝な視線を投げかけた。 太一はノートパソコンを立ち上げると、パソコン操作に熱中し始める。 付いてきたのはいいものの、日々希は機械のことなどわからずなにやら役割をもって動くラビットチーム5人を見ることしかできなかったのだが、それに気が付いた黒縁メガネの太一の上級生が、日々希の準備に取り掛かり始めた。 彼の持ってきた箱の中には黒やら銀色に光る金属的なものが、持ち主の性格そ

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