夜の時間帯は夕食を一緒にして日々希のお役目は終了である。 風呂など付き合わない代わりに朝を起こす役割りが和寿により割り振られている。 和寿はアジールの信頼をたったの数日でたしかなものとし、三人のサーバントのトップとなっていた。 ザイードは采配を了解しながら、それ以外のときでも薄い影のように付き従う。 それこそ24時間一緒にいても苦にならないようであった。 久々の本気のクシュティを数時間したアズィールが身体中が筋肉痛の状態である。 だが、日々希の一番の優先事項はコイビトの和寿である。 和寿がザイードの食器も重ねて引き下げる時に、自分のお盆をもって席を立ち、和寿を追う。 まずは和寿の身体の具合を確認する。 「体は大丈夫?クシュティ、全身運動でしかも低い体勢でかぶりつきだから、いろんなところにきているんじゃあない?」 和寿はお盆を持ったまま、肩だけを互い違いに回して確認し、顔をゆがめた。 「あちこち重い」 「じゃあ、久々に今夜マッサージしようか?」 日々希からお誘いをする。 アジールが来てから全く触れあっていない。 普段は自分から誘うことのない日々希も、そばにいるのに手も振れていない状態に限界を感じる。 その上、和寿の全神経はアジールに向いている。 このまま、和寿はアジールに取られてしまうような気がするのだ。 和寿がそつなく世話をやき、アジールもまんざらではなさそうな様子を日々見せつけられて、日々希は心穏やかではない。 ふたりはまるで、良くできた賢妻と、傲岸不遜で亭主関白な夫のようではないか? そしてきわめて相性がいいときている。 「今夜の相手はザイードにまかせて」 日々希の言葉に、和寿は日々希を見てその真意を読んだ。 「じゃあ風呂の後俺の部屋で……」 和寿が言いかけたが、ザイードが背後から二人だけの会話に割り込んで来た。 「ひび