(106)③Eスポーツ対決は華麗に決めます。

2638 Words

日々希の順番はあと少しである。 気になるのは和寿がいつ登場するかである。 まさかエントリーしてないことなんてあるのだろうかと思う。 「剛、ごめんちょっと席を外す」 日々希は真ん中のBスクリーンの対戦一覧を見に行った。 半分ほどが第一試合を終了し勝利者は〇がつけられていた。 北条和寿の名前は次のAスクリーンである。 探すと和寿はAの試合を見ていた。 声を掛けるのをはばかられるほどの真剣な目つきである。 日々希が着せたあのメイドの恰好であり、ふんわり広がったスカートの下から伸びるすらりとした長い脚に、通りかかる男たちの視線を集めている。 和寿の番はこれからだった。 和寿がアンクルストラップのヒールのパンプスで舞台に登場すると、今日一番の大歓声が上がる。 Cスクリーンの観戦者も、興味なく通り過ぎようとした人も、つられて舞台を振り仰ぎ、釘付けになる。 「あの美人は、北条和寿じゃあないか!」 「きゃああ、和寿さま!!信じられないっ、可愛いすぎる!!」 男子も女子も口々にざわめき騒いでいる。 メイド姿の和寿は手をあげて歓声にこたえると、静まるどころか益々沸き立った。 対するのはぶすりとした女子柔道重量級の最強女子である。 スクリーンでは、ほっそり美人の小悪魔メイドとどっしりガマガエルのような柔道女子との対決となる。 ひらりひらりと和寿は避ける。 足をついと伸ばすと、突進してきたガマはころりと転がった。 実物の対戦相手は足をどたどたと踏みならし、スクリーンのガマは飛び上がって起き上がる。 起き上がるたびに、メイドは軽やかに避けて足を掛け、転がした。 次第に、柔道女子は息も荒く肩も上がり、地団駄を踏む真っ赤な顔で汗だくとなっていく。 相手に3ラウンド中どかどかと足踏みさせて、和寿は涼しい顔で勝利する。 大歓声が華麗に勝利した和寿を祝福した。

Free reading for new users
Scan code to download app
Facebookexpand_more
  • author-avatar
    Writer
  • chap_listContents
  • likeADD