(105)②Eスポーツ対決は華麗に決めます。

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午前中のたこ焼きの売れ行きはさっぱりである。 一方で、アイスパインの方はそこそこに売れる。 日々希たちは屋台に客を呼ぶよりも、目の前を通りすぎる者たちに目を剥くことになる。 狂戦士、騎士、魔導士、ダースベーダー、鬼滅、北斗の拳。 プリキュラ、ポケモンモンスター、バンパイア。 わかるだけでもなんでもありである。 学院祭とは仮装大会だったかと思えるほどである。 彼らはCスクリーン前の座席に陣取っていて、順番がきたら舞台に上がる。 試合もさることながら、自分のキャラクターがスクリーンで戦うことに大満足である。 初戦は玉石混交、勝負に集中する者も、仮装を楽しむものもどっちもいるので、勝負らしい勝負ではないが、見ていてもそれらのキャラクター同士がもたもたしているのを観客席から応援したりなじったりしてはやし立てるのも、なかなか楽しいものである。 特に、いつもは内気そうな女子が意外にも悪魔となっていたり、女戦士のきわどい恰好をしたり、意表を突くあざとさが、男子生徒に大人気である。 もちろん男子も仮装度合いでは負けてはいない。 柔道着に猫耳姿で登場した山田は、立つだけで柔道部の男子たちの男の喝采を受けていた。 審判の仲間も笑いを堪えるのに必死である。 その山田は、つぎつぎと柔道技を決めていき、相手の戦意喪失で1ラウンド勝ちである。 屋台の日々希にちらりと視線を向けたので、日々希がガッツポーズをすると真っ赤になったのが可愛いともいえる。 「本当にここは特等席だな」 剛もたこ焼きを焼く手を止めて観戦と決め込んでいる。 いつからそこにいたのか、ぱっつんぱっつんの赤いボディコン、網タイツ姿の西条弓弦が腕を組んで、たこ焼き屋台の柱に背中を預けていた。 巨大な胸ができている。 女装カフェを抜け出してきたようだった。 その時、Cスクリーン前が大きく沸いた。 沸

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