(104)①Eスポーツ対決は華麗に決めます。

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夜空が白白と明けるころ。 校舎正面のイベントスペースは膝の高さに床を張り、大きな舞台が出現していた。 早朝には即席の祭壇が用意され、日が昇るとともに雅楽の楽舞がしめやかに奉納される。 白装束で舞台を嘗めるように舞うのは南野京子。 瀟洒な赤レンガ造りの校舎の前に、古き神道の神聖で厳粛な場が作り出され、神気で包み浄化する。 彼女は学院祭がつつがなく終えられることを祈願する。 大きなイベントの前には必ず行われるこの種の神事に参列するのは、学内でも限られた者だけ。 今回なら南野の一族が雅楽を奏し、運営委員長代行の東郷秀樹、理事代理の南野雅楽、その隣に東郷警備保障の第一線を退いたボディーガード会社社長の東郷金之助。 北条家の和寿、西条家の弓弦、東郷家の進一郎。 和寿には北見が、西条には西川雄治が、東郷には真面目な顔の学生が、彼らの股肱の臣のごとく後ろに座していた。 そして日も高く、抜けるような日本晴れとなった学院祭の初日が始まる。 全校生徒および、スーツや着物姿の来賓たちが見守るなか、運営委員長代行の東郷秀樹が舞台中央にマイクを握り進み出た。 まだ多くの招待客たちは参加していないとはいえ、黒々とした頭が眼下に広がる、何度も思い描いた壮絶な景色である。 緑の誇りの印を腕に付けた秀樹は、緊張しながらも目を輝かせ、開催の宣言を行う。 端的な挨拶に、大きな拍手のなか吹奏楽部が一斉に立ち上がり、オーニングを祝う賑やかな楽曲が始まる。この日のために頑張ったといえる2ヶ月。 あと二日間で運営委員の頑張りが認められ、秀樹に惜しみない称賛が送られるのだ。 続いて放送委員がマイクを握る。 司会進行は放送委員のメンバーである。 祝辞の読み上げ、本日のプログラム、注意事項。 プロを目指す彼らの元気はつらつで滑舌のよい声は、学院中のどこにいても聞きとれる。 既にあちこち

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