一学期の総合順位の一覧が正面校舎の前の掲示板に貼り出されていた。 ご丁寧にも全ての名前が朝にてらてらと黒光りする墨の毛筆で書かれた達筆である。 人混みをかき分け見えるところに移動した日々希は一年の一位の右から左へと名前をたどっていく。 上位20位まではその名前も順位も遠目からくっきりとわかるほど大きく書かれている。 大和薫英学院は学生たちを競争させることを主眼においている。 社会にでれば厳然たる競争社会でありそこで強く生き残ることが大事だった。上位も甘んじていれば下から突き上げられる。今回思うような成績でなくて、努力次第で次回はどうなるかわからない。 この厳しい順位社会を直視して対策を立て努力し続けられるものが、上位であり続けられるのだ。 その掲示板の前で悲喜こもごもの反応が学生たちの中から上がっている。 日々希はというと、一年120人中総合で59位である。 際だって良いわけでもなく、たいして悪くもなく。 喜んでいいのかどうかも微妙な中途半端な成績である。 苦手な数学と体育科目の柔道、弓道、馬術が足を引っ張っているのは明らかだった。 それらは馴染みが薄かったこともあるが、試合形式の勝敗で成績が決まる。 内部からの新学生は中等部から高等部の授業で行うものを先取りして学んでいる。 日々希は、体育科目の高得点が得られる試合の場に、まだひとつも出られていない。 つまり成績が与えられる前段階で足踏みをしているのである。 それらの体育の評価が総合点をぐっと押し下げていた。 「いいんじゃあないの?俺なんて80位だぜ?」 ひたいに手でひさしをつくって眺めていた西野剛は、日々希の順位を見て言った。 「59位だって?悲惨だな……」 同じものを見てそう言ったのは和寿である。彼も手で顔に陰をつくる。 声色には絶望的な冷やかさも含まれている。 彼は渋い顔を