第5話 拘束LOVE(29)日々希の悩みごと

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襲撃事件から一週間がたっていた。 ようやく平穏な空気が学院にもどってきていた。 日々希は以前はお昼を教室での授業の時は、高校から入学した外部生の友人たちと校舎の食堂で食べていたが、最近は特に決めているわけではない。 教師も学生も、寮生活なので三食を学院内で食べるか、購買で購入して適当なところで食べている。 男子寮、女子寮、教師寮と、校舎には食堂がある。それぞれ個性を打ち出した食事を提供している。 「え?今日もお昼ご飯を教師棟で?いいけど?」 と川嶋は日々希にいう。 授業が終ると、一般クラスの川嶋はいつも日々希の総合クラス2を覗きにくる。 川嶋は真面目で優しい。 どこかほわっとした雰囲気をもっている日々希に親近感を抱いているようである。 「ほら、剛もいくよ?」 西野剛は総合2の同じクラスでルームメイト。 歯に衣を着せぬものいいはたまに日々希の胸をえぐることもあるが、発言者は日々希の反応など気にしていない。頼りになるところが気に入っている。 正直、お昼ご飯を食べるだけならこの校舎の棟の日替わりランチで十分である。 だが、このところ、日々希がランダムに食事場所を選んでいた。 それは、確実に誰かを避けていた。 日々希の食器を片付けるのを己の仕事として決めたらしい柔道の山田を煩わしく思い始めたからか。 一般のクラスから川嶋より遅れて出てきた今野と合流する。 今野は図体はでかくて無口で真面目で朴訥。だが、柔道はめっぽう強い。中学で全国2番目の強さを誇っていた。 この四人で、日々希は最近は食事を取ることが多くなっていた。 廊下からちらりと総合1クラスに目をやる。授業が長引いているのかまだ、誰もでてこないようだった。 教師棟食堂は、学生棟よりもこじんまりしている。日々希、剛、川嶋、今野以外にも食事をとる生徒も混ざっている。 唐揚げ、餃子、チャーハ

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