初めてのときは、命のやり取りの後で興奮し高揚していた結果の、どさくさの勢いがあったのだと思う。 事件の最初の土日は和寿はヘリで学校を出たので平穏な週末を過ごせたのだが、それ以来、日々希は和寿に俺の部屋にこいっと言われるのをびくびくして避け続けている。 次に部屋に入れば、確実にあれが行なわれるだろうと思う。 初めての時がまったく駄目だった訳ではない。 むしろ、日々希には意外だったのだが、気持ちが良かった部類である。 あまり想像したくないことであるが、16にして、男も女も抱いていた和寿が相手だったからだろう。 女子とキスもしたことがないのに、男とのそれが気持ちがいい、というのは相当ヤバイのではないか?と思う。 和寿には確かに強烈に惹かれているが、キスや、それ以上が気持ちがよいとなると、もう社会で当たり前とされている恋愛へ、引き返せなくなるのではないか?と思うのだ。 それは予感や確信に似たもので、日々希の中で、警告ランプがずっと点滅している。 和寿が突きつけたのは、日々希の自分さえ知らなかった自分の一面である。 和寿が求めるのは、成長期のホルモンの暴走で、いずれ鎮まれば、彼は北条家本家の跡取り息子。あるべきところに自然と収まっていくはずである。 彼は日々希がなくても、やっていけるだろう。 和寿が好きであると、日々希は既に自覚をしている。 いずれ取り残される自分は、その時には和寿なしではいられなくなっていたら、どうなるのだろう?と思う。 だが今ならまだ引き返せる気がする。 過ちはたったの一度だけなのだ。 一度であれば、なかったことにできる、はずである……。 そういうことで、ジョシュア先生がいう通り、日々希の一週間は和寿を避け続ける日々であった。 向き合わなければならないとも思うのだけど、それもできないでいた。 相談しようにもルームメイトは日々希