(65)既に知り合いです。

3893 Words

南野京子の挨拶で茶会は始まっていた。 アジールはど真ん中の席でホストの南野京子がその隣。反対側には柔和な物腰の東郷が座る。同じテーブルには、西条、和寿。四天王に囲まれた形である。 入れ替わり立ち代わり、アジールに挨拶と四天王を交えた軽い会話がなされていた。 その間に、自由に派閥の学生たちも歓談に加わり、コーヒーや軽食を選びに席をたつ。 生演奏もいつの間にか始まっている。 「全部会話が英語だったわ!やっぱり英語頑張らなきゃ」 とリエ。 アジールを配慮して全てが英語でなされているようだった。 「へえ?英語でなくても大丈夫なのに?」 ふと昨日のアジール王子の堪能な日本語を思い出した。 四天王を支えるトップたちは英会話ぐらいはできて当然なのだろう。そのために和寿はジョシュア先生と個人レッスンをしている。 カウンターははじめの内こそコーヒーのオーダーやら軽食を選びにきた学生たちで混雑していたがそれも落着き、リエはぐるりと一周をしてきたのだった。 ようやく日々希も人心地つき、会場を見る余裕がでていた。 それまで、和寿は視線も合わさず日々希がそこにいないかのように振る舞っていた。 気になるのは和寿である。 今朝の距離をおこう発言をされて別れようという意味だと思ったのだが、昨日から大和薫英中がアジール王子の留学で慌ただしい。 冷静になれば、学院始まって依頼の要人の一人といえるロイヤルファミリーの留学に、和寿は王子の滞在期間中、友として朝から晩までいることになったのだろう。 四天王以外に相応しいものはいないと日々希も思う。 和寿は顔に余所行きの表情をへばりつけている。 怜悧などことなく冷めた顔で、場を盛り上げるというわけでもなく、アジール王子や南野、それからひっきりなしに挨拶にくる者たちと無視するわけではなく、さらりと会話をしている。 別のテーブルの西

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