無様に負けた日々希は、おぼつなかい足取りで土俵を降りた。 あんな風に海斗に、子供とやるように手心を加えられた一戦は初めてである。 絶対に負けたくないという気合ばかりが先走って、海斗の作戦が見えなくなっていた。 恥ずかしさに口を引き結び鼻水をすすり、人混みから離れた。 本殿の屋根の影に紛れた日々希に、ソースとかつお節の美味しそうな匂いがほわっと香る。 目の前に重そうな紙袋が突き出されていた。 汗よけのペイズリー柄のバンダナを額に縛り、作業服姿の日に焼けた健康そうな少年である。 一瞬誰だかわからない。ルームメートの西野剛である。 良家の子息子女の通う大和薫英の生徒には見えない、まるっきりテキ屋の兄ちゃんだが、板についている。 日々希が座った横にどしりと腰を落とした。 「ほらっ、たこ焼きでも食べろよ。昼から何にも食ってないだろ」 「たこ焼き……」 剛はいったん突き出した紙袋を渡すかと思いきや、中から舟形のたこ焼きが入った透明パックを取り出し、改めて日々希に差し出した。 日々希は押し付けられるままに受け取った。 今度こそ、剛は紙袋も日々希に渡す。 「あと三パックもあるけど」 「和寿と、あんたの友人たちで食べろよ、差し入れだ。屋台はお昼のピークもちょい乗り切ったからな」 神社前には二つの土俵が作られて、力勝負は二試合が同時にできるようになっている。 「残念だったな。顔に似合わず強いというのがひびきの真骨頂なのに、案外見たまんまの弱さで笑えたぜ! 大人数人前恐怖症でもでたか?」 ルームメイトは歯に衣を着せない物言いでからりという。 そういわれれば、恥ずかしいも通りこして苦笑するしかない。 強さをうかがわせる片鱗さえも見せずに負けてしまった。 強図星なところを指摘されるも嫌みっぽくきこえないところが、剛の良さでである。 返って開き直れるのが