早朝からヘリの爆音が大和薫英学園の空を叩いていた。 校内放送の呼び出しが続いている。 北条和寿、東郷進一郎、西条弓弦、南野京子……。 「あれ?四天王のみなさま方の呼び出しですよね?」 カウンターでコーヒーを手際よくセットしている後輩のリエがいう。 リエは多少おっちょこちょいのところのある元気な一年一般である。 肩までの髪を色とりどりのピンでとめて、後ろでひとつに結んでいる。 日々希の前髪を長すぎるからといって、前髪を真っ赤なピンで留めたのはリエである。 飲食店は髪が落ちたことに気が付かなければ命とりなのだそうだ。 後輩から当然なことを指摘されると痛い。 髪をバリカンで刈るよりは、女子に見間違われる恐れもあるが、ピンでとめるほうが良かった。 それ以来、日々希はカフェバイトのときはピンでとめ、おでこを出すことにしている。 固定客にはおおむね好評である。 初めは驚かれもするが、何度か見るうちにすっかり見慣れるもののようである。 先ほどのヘリでの理事長の緊急来校に、四天王全員への呼び出し放送。 日々希もあれ?と思っていたところだった。 「あの、噂の中東のお金持ちの国の王子さまのサポート役に四天王が呼び出されたのではないですか?」 「中東といえば、あのテラスの白服のお客さま、アラビア語の挨拶をしたらアラビア語で返してくれたよ?」 「何か、四天王たちの呼び出しと見慣れない彼、関係あるんですかね?」 リエとのんきな会話を交わす。 日々希がふと目をやると、制服のまま猛烈に走ってくる学生がいた。 褐色の顔、遠目からもわかるはっきりした目鼻立ちの中東からの留学生。 必死さが伝わる走り方である。 それからすぐ後ろに白人の大柄な黒服の男。 屈強そうで見るからにボディーガードだった。 彼も大きな体に似合わず全力で走ってくる。 彼らはテラスの木陰で優