(12)②淫靡な願い(第2話完)

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「違うだろ?本当は和寿は深く眠りたいだけなんだろ。その欲求を満たしてやるよ」 日々希は伸ばされた手を取った。和寿の願望を別の物にすり替えるのだ。そうでなければ彼の臆面もなく口にしたあの、淫靡な願望に流されてしまう。 「眠るよりあんたを泣かせたいんだが」 といいながらも日々希がしたいようにさせてくれるようだった。 思った通り、その手の平も指の関節も、ガチガチに固まっている。 関節を曲げようとしても反発して曲がらない。いったん手を離す。 次は足を甲ごと両手で握る。両手で包まれ強く握られて和寿はビクッとしたが、日々希が何をするのか興味を持ったのか、好きにさせてくれる。 和寿の足指もぎゅっと大地を踏み込む形ですべての指が固まっていた。 和寿に聞こえるようにふうっと日々希はため息をついた。 「あんたは、あんなに柔道が強いのに、自分の体のことがわかっていないんだな。 頑張りすぎの身体をしている。どこもかしこもガチガチだ。これじゃあ眠れないのも当然だよ。もっと足裏で踏みしめる大地や頬に触れる風や、香る花の匂いや、背筋や腕や足が伸びる感じを感じて、体と心をつなげて感受性を高めれば、もっと楽になれるし、もっと強くなれるんじゃあないかな?まあ、既に十分強いケド。それに、毎日シャワー?シャワーじゃあ、汗を流せても筋肉や心の緊張はほぐせない。せっかく寮には大浴場があるんだ。湯量に熱量は比例する。身体の芯から温まるし、温かいということは幸せに通じる。入りにおいでよ」 「皆と一緒に入れっていうのか?」 和寿はくっと頭だけ上げ、信じられないというように足元の日々希を見た。 日々希はベッドに腰を落ち着けて、太ももに和寿の足をのせ、その足裏を親指の腹で押していく。 凝りのあるところをぐいっと押すと、和寿は痛みに目をつぶり、頭を枕に落とした。 「そこ、痛すぎる……」 和寿の足裏

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