祭り初日。 早朝から神社で関係者を集めて祭りがつつがなく行われることを祈願し、儀式が行われているという。 昨年の優勝者の父や母、地元の関係者が参加しているという。 日々希には時間があった。 毎日の習慣は恐ろしいもので、三キロ走ると海斗の牧場に自然と足が向く。 そこで見たのは栗色の駿馬にまたがり障害物を飛ぶ和寿である。 みどりの広大な牧場を背景に騎乗する姿は、見慣れているはずの日々希でさえ目を奪われる。 海斗は腕を組み、和寿の騎馬の様子を見ていた。 「どう?」 声をかけると海斗はちらりと日々希の顔を見てから、視線を和寿に向ける。 真面目な顔は、日々希に普段見せることのない仕事の顔である。 「すごいな。姿勢、バランス感覚、馬のタイミングを読む力、抜群だな」 「学年一番だから何をしても飛び抜けてすごいよ」 和寿が誉められていると少し嬉しいものである。 だが、日々希はすぐに眉を寄せた。 「っていうか、和寿が乗っている馬、僕のリリーじゃないっ。和寿が欲しいといっても彼には売るな!」 海斗は眉を上げ、今度はきちんと日々希を見た。 「売るなって、リリーは日々希の馬ではないよ?それに育てているのは良い馬主を引き合わせるためだ」 「それでもなんだか嫌だ」 「なんだよ、あいつと日々希はどういう関係なんだよ?」 そういっている間に、和寿はぐるりと回り、近寄ってくる。 「どうですか?駿馬でしょう。頭が良くて性質も、おとなしくて扱いやすい三歳馬で、父は、、、」 海斗は説明を始める。それに対して、和寿も何やら専門的な質問をしている。 日々希は蚊帳の外に取り残されたような感じを受けていると、じっとその様子を伺うエミに気がついた。 海斗が取られて残念ね! とその目が言っていた。 祭りの喧嘩勝負は、大事な顧客の和寿と一緒に行動するようにと、山南の親父の命令