(116)①仕置き

3820 Words

エキシビションマッチは大変な盛り上がり様をみせた。 今迄と違ってグループ対決は、舞台を半分に区切り、Aスクリーン側だった方がエグゼス、Cスクリーン側が選抜とジュリアの側になる。 エグゼスは初めは距離感に戸惑いつつも、すぐにコツを掴む。 ダンスのように戦う姿は圧巻で、互いの意思疎通は確実で、息はぴったりであった。 対する学生選抜とジュリア組は、個人的な能力は高いのだけれど、バラバラである。 特に、ジュリアが誤って和寿とぶつかったりして結んだドレスがほどけてしまい、さらにそのドレスを踏みつけてしまったりして、味方同士がつぶし合ってしまったところがあった。 そうして、ゲストのエグセスが勝利を制したのである。 「うわあ、手に汗握った。エグゼス、えげつないほどカッコいいな」 そういうのは剛である。 「あいつら絶対、ダンスでごまかしてはいるが、ヤバイやつらだぜ?」 わかったように言う。 日々希が見ていたのは和寿である。 和寿は体力を温存しているようであった。 このまま、VESの本試合、決勝なのである。 エグゼスたちが舞台を降りると、この熱気が冷めやらぬ中、西条弓弦と和寿が対峙する。 試合は始まっているようである。 さきほどと二人の顔つきが違っている。 太一の号令で、VESの決勝戦がはじまった。 足技の和寿かパンチの西条かの勝負かと思われた。 なぜなら、和寿のこれまでのポイントの全てが足技だったからだ。 日々希は、それが和寿の作戦だと思っている。 和寿は柔道も合気道もなかなかなものである。 夏祭りの時も和寿は勝ち抜いたのだ。 それが、馬鹿の一つ覚えのように足技しか使えないなんてわけがないじゃないか。 そう思っても、様々な足技を和寿はしつように繰り出していた。 西条もそれが作戦だとは気が付いていたとは思うが、つい足元にばかり注意が行く。

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