(100)④※学院祭に熱くなりすぎではないですか。

3332 Words

教室の端のカーテンに仕切られた空間は、2畳ほどの広さがあった。 大きな姿見が奥に置かれていて、その横には誰かの勉強机だったものと衣桁があり、畳の上に置き型のスポットライトの照明がある即席のフィッティングルームとなっていた。 和寿は靴を脱ぎさくっとはいると中の暗さを確認し、かちりかちりとライトをつける。 「十分な広さがあるから、ひびきも入れよ」 内側からカーテンを腕にかけ、日々希がくぐれる隙間を空ける。 ずしりと重い遮光性カーテンである。 鍵がない代わりに仕切りカーテンの重厚さで教室の中に別空間を作り上げていた。それは成功しているといえる。 まるで彼の巣の中に招き入れられるようで、どきりとする。 和寿の作った秘密の通路を、日々希は靴を脱ぎくぐり入った。 ライトの灯りが照らし出すのは二人だけの背徳空間。 女の服に袖を通して鏡に映しだす禁断の一時。 鏡の中の現実ではありえない異性性になり切っている向こう側の女を、男の自分が視姦するという妄想にひたるのだ。 そんな、妖しい白昼夢にどきどきし始めた日々希がうかがう、ライトに照らされまつげの影を頬に写す和寿の顔は美貌の若者である。 もしかして女装は大変似合うのではないかと日々希は思う。 「でお前はどれがいいと思う?セーラー服?メイド服?選んでくれ」 和寿はブレザーを脱ぎ、タイを解いた。 シャツのボタンを外しだす。 日々希が引き出したのは、最初に西条弓弦が選んだピンクのリボンに1本ラインのセーラー服である。 着替えを手伝う日々希はリボンの結び方がわからないので適当に蝶結びを作る。 なんだか違うような気がする。 セーラー服を着せたことも、当然のことながら脱がしたこともないのだ。 うまく結べるはずがない。 後でネットでチェックしなければと頭の中にメモ書きする。 少し離れて和寿の女子高生を見てみた。

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