ということで。 その大恥をかいた一件の後、すぐさま和寿のダンスの猛特訓が始まったのである。 外部から学院へ一流のダンサーを呼ぶ。 実際には多くの人たちがいる中で踊るのですよ、と言われて南野京子の社交ダンスクラブの中でも京子お墨付きの口の堅いメンバーに参加してもらう。 ダンスにはいろんな種類があることも知って、女王陛下の前で踊るダンスと、町中のダンスホールで踊るダンスには違いがあることを知る。 そしてそれらの間のくだけ方はその場の雰囲気に寄るのである。 和寿はプロになるわけではないので、多様なダンスに関しては恥ずかしくない程度にその基礎部分ぐらいだけでもレクチャーを受け、その成り立ちを知り、ステップを踏めるぐらいで十分だと思う。 講師たちは、和寿に意気揚々と手取り足取り、遠慮もなく指導する。 必死の形相でできないステップを踏む哀れなダンス音痴を、いたぶり楽しんでいるようだった。 京子たちも、優しいというよりも、これ幸いと馬鹿にして楽しんでいるようである。 なんですかその態度は?手助けをして差し上げているのですよ、それが教えを乞うものの態度ですか? なんて京子の美しい笑顔の奥に、透かして見えるのである。 その甲斐があってか、だんだんと上手にはなってきてはいるのだが、レッスンが終われば肉体的にも精神的にも疲労困憊していて、日々希と過ごしたいのにも関わらずその時間を捻出できないのである。 「和寿さま、ダンスにのめり込みすぎですよ。ちょっと恥ずかしい思いをしたからといって」 見かねたのは北見である。 今日は、何度目かの外部で行われるプロ講師のスタジオのレッスンがある。 北見は、和寿の横にヘリに乗り込んだ。和寿が見下ろすその目線の先には、いつも日々希がいた。 小さくなっていく日々希の顔には傷ついた色が見える。 和寿にはその傷ついた色がわからないのだろ