(110)⑦Eスポーツ対決は華麗に決めます。

3361 Words

身体を動かそうとして、体に巻き付けられた腕に気が付いた。 ベッドからでるためにそっとほどこうとする。 だが、その甘い桎梏は、合歓の木の葉を刺激したかのように、きゅうと日々希を閉じ込めた。 「……もう少しいて欲しい」 そういい、首筋に鼻を擦り付けてくるのは和寿である。 夕食の時間も過ぎてしまっている。 お腹が空いて目が覚めたようなものだった。 日々希も一日鉄板の熱に炙られ、多くの視線にさらされる試合の場にも立って、そして和寿との交合。 いつ終わったかも覚えていない。 疲れてそのまま二人して寝てしまっていた。 「夕食なら、机に置いてあるだろ」 首を起してみると、和寿の言う通り、簡易な弁当箱が二つ置かれていた。 和寿が北見に命じて持ってこさせたことを日々希は知る。 和寿はこの部屋に北見を入れたのだろうか。 北見はベッドの上で裸で互いに体をすりよせて眠る自分たちを見たのだろうか、といまさらながら羞恥に顔が染まるような気がした。 日々希を捕らえる腕の力が緩む。その隙間から滑りでた。 己の身体に意識を走らせ内側から確認する。 違和感があるのはこらえらえないというほどでもない。 和寿が日々希の中に入れたのは一度だけだった。 慎重に、負担の少ない愛し方をされたのだと思う。 和寿は自分の快楽よりも日々希を愛することに集中し、気持ちを解きほぐすことに集中していたようであった。 その代わり、身体中いたるところに何度も吸い付かれて、いくつも和寿の印がつけられたような気がする。 もう一度シャワーを浴びて、体を確認して。 シャワーブースに向かおうとした日々希の手が、体を起こした和寿に掴まれた。 振り返ると、希望と懇願と、一方で最悪の事態を想定し怯えたような複雑な感情が入り混じる目が、日々希を見つめていた。 その目の悩ましさに日々希の体の自由が再び奪われ

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